改正 RoHS 指令 (RoHS 2) と規制物質

RoHS指令とはRestriction of Hazardous Substances の頭文字で電子・電気機器における有害物質の使用制限に関するEUの指令です。2003年に制定されましたが、2011年に改正されたので、改正前を旧RoHSあるいはRoHS 1と呼び、改正後を改正RoHSあるいはRoHS 2と呼んでいます。

1. 規制物質

旧RoHSの規制物質は、下記6種類でした。

  許容濃度
0.1wt%(1,000ppm)
水銀 0.1wt%(1,000ppm)
六価クロム 0.1wt%(1,000ppm)
カドミウム 0.01wt%(100ppm)
PBD(ポリブロモビフェニール) 0.1wt%(1,000ppm)
PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル) 0.1wt%(1,000ppm)

改正RoHSも2011年の改正では上記の6物質が指定されましたが、2015年6月4日に4物質が追加指定されたので、現在は下記10物質が規制物質(いわゆる使用禁止物質)です。

改正RoHS規制物質 (2015.6.4)

  規制濃度
0.1wt%(1,000ppm)
水銀 0.1wt%(1,000ppm)
六価クロム 0.1wt%(1,000ppm)
カドミウム 0.01wt%(100ppm)
PBD(ポリブロモビフェニール) 0.1wt%(1,000ppm)
PBDE(ポリブロモジフェニルエーテル) 0.1wt%(1,000ppm)
DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)(別名フタル酸ジオクチル(DOP)) 0.1wt%(1,000ppm)
BBP(フタル酸ブチルベンジル) 0.1wt%(1,000ppm)
DBP(フタル酸ジ-n-ブチル) 0.1wt%(1,000ppm)
DIBP(フタル酸ジイソブチル) 0.1wt%(1,000ppm)

DBP、DEHP(DOP)はNBR、ヒドリンゴム等に汎用に使われる可塑剤ですが今後は事実上使用できなくなります。

2. 対象品目・対象カテゴリ

改正RoHSでは対象製品を11のカテゴリに分類しています。

カテゴリ 対象品 対象品の例
1 大型家庭用電気製品 冷蔵庫、洗濯機、エアコン
2 小型家庭用電気製品 掃除機、アイロン、ヘアドライヤー
3 IT機器及び遠隔通信機器 ミニコンピューター、PC、プリンタ
4 民生用機器 ラジオ、テレビ、オーディオ
5 照明器具 蛍光灯ランプ、ナトリウムランプ
6 電動工具 ドリル、のこぎり、ミシン、塗装スプレー
7 玩具・レジャー・スポーツ機器 テレビゲーム
8 医療用機器 医療用機器 放射線治療機器、透析装置
対外診断用医療機器 分析装置、冷凍庫
9 監視・制御機器 監視及び制御機器 煙検出器、加熱調節器
工業用監視・制御装置 制御盤
10 自動販売機 ホットドリンク自動販売機、ATM
11 上記カテゴリに入らないその他の電気・電子機器  

旧RoHSはカテゴリ1〜7および10が対象で、カテゴリ8〜9は除外されていましたが、改正RoHSでは新たにカテゴリ11が追加され、1〜11のすべてが対象となりました。
カテゴリ11は「1〜10に入らないその他の電気・電子機器」なので、改正RoHSは全ての電気・電子機器を対象にしています。

  1. (注1)対象品は交流1,000ボルト以下、直流1,500ボルト以下の電気・電子機器が対象です。
  2. (注2)対象品については、旧RoHS のAnnex IA(付属書1A)、Annex IB(付属書1B)に例示されています。
    旧RoHS(RoHS 1)の対象製品の具体例は下記に掲載されています。
    http://eudirective.net/rohs1/rohs1taisyouseihin.html
  3. (注3)改正RoHSは全てのカテゴリの適用開始を一律に規制しているものではありません。
    旧RoHSで既に規制されているカテゴリ1〜7、10の適用開始は2006/7/1ですが、改正RoHSで新たに規制されるカテゴリ8〜9、11については2014〜2019に適用開始されます。
カテゴリ 対象品 適用開始
8 医療用機器 医療用機器 2014/7/22
対外診断用医療機器 2016/7/22
9 監視・制御機器 監視及び制御機器 2014/7/22
工業用監視・制御装置 2017/7/22
11 上記カテゴリに入らないその他の電気・電子機器 2019/7/22

3. 適用除外品

現在の科学技術では、特定有害物質を使用する以外に代替手段がない場合は、申請により適用除外が認められ、AnnexⅢ(付属書3)、AnnexIV(付属書4)に列挙されているので、参照してください。
適用除外用途の一覧 (2016.6.25更新)は下記に掲載されています。

4. 生産者の義務

RoHS指令では生産者、輸入者、販売者それぞれの義務を定めています。生産者の義務は以下の通りです。

  1. RoHS指令への適合性評価実施して適合であることを宣言し、製品を上市する前にCEマークを貼りつけること。適合の根拠を明示する技術文書を作成し、適合宣言書とともに10年間保管すること。
  2. 適合の維持を管理し、設計変更や整合規格の変更では適切に対応する。
  3. 製造番号など製品識別に必要な情報、および製造者の名前、登録商標、住所、および連絡先を製品または包装や添付文書に表示する。
  4. 上市後に不適合があれば製品をリコールし、加盟国の所轄当局に直ちに通知する。

出典:ウィキペディア、JETROホームページ、潟Gム・システム技研ホームページ

※本内容は蓮見-RCTによる編集のもと同社の許可を得て転載しております。

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